2009年01月12日

ヴォイス〜命なき者の声〜 第一話

 東凛大学医学部4年の加地大己(瑛太)は、志望していた「心臓外学ゼミ」に不合格となる。同級の石末亮介(生田斗真)は、一番人気のゼミだから仕方がないと声をかけるが、大己は自分が受かっていたのに落とされたような気がしてならない。

 大己が合格していたのは、亮介と同じ「法医学ゼミ」だった。掲示板に書かれた合格者名の一番下にある自分の名前。それを見た大己は、何かを思いついたように掲示板の前を立ち去る。

 その頃、同医学部4年で「脳神経外科学ゼミ」に合格した久保秋佳奈子(石原さとみ)は同ゼミの教授を訪ね、「法医学ゼミ」に異動させてくれと頼んでいた。


 「法医学ゼミ」の教授の佐川文彦(時任三郎)を訪ねた大己は、自分の名前を掲示板から移動させたのではないかと切り出す。そんな大己に佐川は「心臓外科学ゼミ」の志望理由を尋ねる。大己は、人間にとって心臓が最後の砦――つまり、心臓が止まってしまったらどんな医学も意味をなさないからと返答。すると佐川は、生きている人間だけではなく亡くなった人の声に耳を傾ける医学があってもいいのではないかと話す。さらに、大己を佐川のゼミに入れた理由を「法医学に向いていると思うから」と答える。


 佐川は学生たちに、法医学の第一義は、人の死因を解明することだと説明。日本では、制度の未整備などにより異状死した遺体の約1割しか解剖されないが、死者の体はその人が最後に伝えたかった言葉を明確に語りかける、その法医学者にしか聞こえない言葉や声をつなぐのが自分たちの仕事なのだと教える。

 その後、解剖室を見学した学生たちは、玲子からこの解剖室で年間約300体の解剖が行われると聞かされ肝を冷やしながらも、簡単な作業を行う。そんな中、玲子が大己に、ある組織を実験室に運ぶよう指示。大己が実験室に入ると、技官の蕪木誠(泉谷しげる)は、ヘッドホンで音楽を聴きながら顕微鏡を覗いていた。

 そんな折、佐川に南府中署の刑事・大和田敏(山崎樹範)から連絡が入り、他殺の可能性がある男性遺体の解剖を頼まれる。やがて、運び込まれた男性・市原(モロ師岡)は佐川の手により解剖され、それを側で見る大己らの脳裏にはさまざまな思いがよぎる。

 解剖が終わり研究室に戻った大己らは、およそ30sの落下物が当たったことで死亡したと思われる市原の死因について推測し始める。大己は市原の額が陥没していることに疑問を感じる。落下物は普通、頭頂部に当たると思うからだ。額が陥没した理由は、宙を見上げていたからに違いない言う結論には行き着くが、それ以上のことはわからない。

 そこで、大己、亮介、哲平、彰は市原の死亡現場である建設中のビルの前にやってくる。その高さ10メートルほどのビル屋上からの落下物に当たり死亡した市原は、ビル前にある花壇に向かい、膝を地面につけ手を伸ばし、突っ伏すように気を失っていた。その姿は祈るようで、表情は微笑んでいるように見えたという。大己は、その話を聞きながら、周囲に置かれた花束を見つめていた。

 後日、大学にいた大己は佳奈子から、市原が額以外にも、鼻骨、鎖骨、頚椎、そして左右前腕の外側の骨である尺骨も骨折していたと聞く。落下物を認め逃げようとすれば、両腕の外側を骨折することはありえないと、大己らは疑問に思う。そして、亮介に促された哲平が両手を高々と上げ、発見された当時の市原の様子を再現して見せる。その姿はまるで、天に雨乞いをする人のようだった――。
それを見た大己の脳裏には、さまざまな情報がフラッシュのようによぎっていく。そして、それがひとつになったとき、あることがひらめく。そして、「受け止めたかったんだ」と確信に満ちた表情で言うと、どこかへ走り去る。亮介らは、わけもわからないままその後を追う。

 大己らがやってきたのは、市原の別れた妻・川鍋秀子(美保純)のアパートだった。部屋に通された5人は、かつて市原と秀子の息子がベランダから転落死していたことを聞く。当時、小学1年の息子は、野球好きの市原から与えられたグローブとボールで遊ぶうち、ベランダに出たボールを捕ろうしてあやまって転落してしまったのだ。それを知った市原は自分を責め、以来、野球嫌いになったという。そして、夫婦は息子の死を乗り切れずに、事件からほどなくして別れてしまった。市原は、最期までかわいそうな人生だった…秀子がそう言ったとき、大己がそれを否定し、市原はひとりの命を救ったのだと話す。

 大己曰く、事件のあった日、市原が見上げたビルの屋上には自殺をしようとして立つ小学4年生くらいの子供がいた。息子と同じくらいの子供が飛び降りたのを見て、市原は手を伸ばして救いに行ったと言うのだ。現場に落下物がなかったことから、助かったと思われる子供はその場を歩いて去ることができた。その際、負傷した市原は、遠のく意識の中で、自分は大丈夫だから行きなさいと子供を促したに違いないとも言う。子供の命を救うことは、市原にしかできなかったし、自分はそれを凄いと思う――大己がそう話すと、秀子は涙を流し礼を言う。

 その後、5人は再び現場に戻る。そこで、亮介は大己に、いつ落下物が子供だと気づいたのかと尋ねると、大己は、最初に現場に来たときだと答える。そこに供えられた花の中に、いかにも野原で摘んできたような小さな花束があったことがヒントになったと言う。そんなとき、花束のところにしゃがんでいた佳奈子が、1枚のカードを見つける。そこには、子供の字で「ごめんなさい。ありがとうございます。」と書かれていた――。


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