看護師・田中愛子 (菅野美穂) の自宅に看護師長・和子 (エド・はるみ) が訪ねて来る。愛子は結婚が決まった和子に病院スタッフの近況を話す。新しい病院で看護師として働く 麻衣 (橋本真実)、看護師採用試験を受ける圭太(永田 彬)、准看護師から正看護師になる勉強をしている 千夏 (秋田真琴)、スーパーで働く 希美 (有村実樹)、デイケセンターで働く 聡子 (氏家 恵)、自宅で寝ている外科医・薮内 (六角慎司)、新しい病院で働く内科医・片岡 (田中 実) … それぞれが新しい環境で前に進もうとしていた。「田中もしっかりしなさい」和子の言葉に愛子は胸が痛んだ。
愛子が母親の写真を見つめていると、妹・七海 (黒川智花) が帰宅する。「大学を辞めたい」と告げる七海。母親の敵を討つために弁護士を目指してきたが、病院で頑張るスタッフを見るうちに前向きな目標を持ちたくなったというのだ。
「森山先生みたいなお医者さんになりたいの」と七海。「お姉ちゃんも、まだ市民病院のこと諦めてないんでしょ」と愛子を勇気付けた。
航平が病院のために自分が出来ることはないかを考えていると、愛子が駆けてくる。「このまま諦めるのは嫌だ。もう一度市民病院で頑張りたい」と愛子。航平は「諦めの悪いもの同士、とことんやってみよう」と笑顔を見せる。そして、航平と愛子は病院スタッフの残していった白衣を見つめ、病院のためにできることを話し合った。
ある日、航平と仙道は病院院長の 柿沼 (志賀廣太郎) に、「病院閉鎖の不服申し立て」を代表して行って欲しいと頼む。しかし、副市長の 蓮見 (陣内孝則) から再就職先を打診されている柿沼は協力することは出来ないという。病院へ戻った航平は、「病院再建には “市民病院には設備はあるけど人はいない。私たち開業医には設備がない” と言った仙道の妻・昌江 (水沢アキ) の言葉がヒントになる気がする」と仙道にいう。
一方、愛子は病院閉鎖反対の署名を集めることに。しかし、リゾート開発で商売を立て直そうとしている市民たちからは、署名できないと断られる。その日は、海沿いで「リゾート開発カウントダウン祭」が行われており、子供から大人までイベントを楽しんでいた。駆けつけた愛子は、自治会長の 矢島 (九十九 一) や精肉店の 野田 (石本武士) が止めるのも聞かずに署名活動を始める。
ライトアップされている会場。ステージではゲストの歌手(星村麻衣)が歌をうたっている。しかし、愛子は休むことなく署名活動を続けていた。するとそこに蓮見が現れる。署名活動を中止するように告げる蓮見。しかし愛子は止めようとはしない。その時… 会場に設置されていた巨大イントレが崩れた!
投げ出され、何かの残骸の上に倒れている愛子。体を起こそうとするが、強く打ったらしく腹に激痛が走る。蓮見も起き上がり、愛子を心配するが… 二人は現場を見て呆然とする。イントレがなぎ倒された後には人や物が倒れ、火事が起こっていた。
逃げ惑う人々。悪夢のような光景の中、愛子は一人でけが人の応急処置を行う。そこに… ぐったりと意識のない少女がいた。蓮見の娘・唯 (稲垣鈴夏) だ。緊急を要すると判断した愛子は航平に連絡する。その時、航平は市民病院にいた。事故の連絡を受け、梱包した薬や器具をカバンに入れる航平。仙道も一緒だ。愛子から絡を受けた航平は、唯を市民病院へ運ぶように告げ、受け入れ準備を始めた。
しかし、現場では衆議院議員の 松永 (品川 徹) が隣町の病院へ運ぶようにと指示をしていた。隣町の病院までは1時間以上。「このままでは死人がでます」という蓮見の言葉にも松永は耳を貸さない。愛子は松永を押し切って唯を市民病院へ運ぶ。
唯が市民病院に運ばれてきた。航平と愛子の処置の結果、唯の意識は回復する。そんな航平の元へ、次々と患者がやってくる。しかし、市民病院に医者は航平しかいない。緊急性のある患者から順番に治療を施すことになるが、航平は愛子の様子がおかしいことに気づく。
第10話「死ぬな!病院…!!〜救う絆、そして闘う絆〜」2008年9月7日(日)よる9時わき腹を押さえ、苦しそうな表情を見せる愛子。しかし、唯の容態が急変し緊急オペが必要となったため、愛子は痛みをこらえながらオペの準備を進めることに。けれども、激痛に耐え切れなくなった愛子が倒れてしまう。騒然とする一同。愛子は内臓を損傷しており、緊急オペが必要な状態だった。唯のオペと愛子のオペ…航平が迷いの表情を見せていると、「相変わらず無茶しているのね」と脳外科医・遠藤紗綾 (緒川たまき) が現れる。さらに、片岡、和子、薮内、麻衣、希美、圭太、聡子、千夏がやってきた!バラバラになったはずのスタッフが事態を聞きつけて駆けつけたのだ。ぐったりとしながらも駆けつけた仲間に喜ぶ愛子だが、吐血しそのまま意識をなくしてしまう。
紗綾・聡子・千夏で唯のオペが始まった。麻酔管理の片岡を待っていると、そこへ柿沼が現れる。「かつては救命救急の鬼と呼ばれた男ですよ」という柿沼に、笑顔になる一同。唯の手術は進められる。
同時に、航平・薮内・麻衣・希美で愛子のオペが始まる。順調に終わるかと思われたが、愛子の内臓は予想以上に出血が多く危険な状態だ。航平たちが懸命にオペを進めるが愛子の容態は安定しない。「この病院を諦めたくない」愛子の言葉が頭をよぎる航平。「戻ってこい!!」航平は叫び続けるが、愛子の反応はなく…。
一方、病院には怪我をした多くの市民が集まっていた。片岡・和子・圭太・仙道が必死で治療を進める中、いてもたっても居られなくなった矢島が「愛ちゃんも俺らのために頑張ってくれたんだ。俺らにも何か手伝わせてくれ!」と言い出す。患者の家族たちもそれに呼応した。さらに、開業医たちが看護師を連れて次々と現れ、スタッフと市民がひとつになってケガ人の治療にあたる。その様子を蓮見はただただ見ていた。
明け方、唯がゆっくりと目を覚ます。蓮見は唯の手をしっかりと握り締めて涙を流した。その時、七海と和子は愛子の手術が終えるのを静かに待っていた。仙道と蓮見が駆けつけると同時に、航平がオペ室から出てくる。「一命は取り留めたが、後は意識が戻るかどうか…」航平の言葉に、呆然とする七海たち。その後、事故現場となった海を訪れた蓮見は、浜辺でボロボロになった署名用紙を見つけ何かを決意する。
落ち着いたナースステーションに松永と蓮見がやってくる。「病院閉鎖を考え直して欲しい」と松永に直訴する航平。病院スタッフ・市民も同じ意見だ。しかし松永は、「閉鎖している病院で医療行為が行われたことが問題なんです。アピールのつもりですか?」と冷酷な態度だ。「目の前にいる患者を救おうと、自分の命と引き換えに闘った看護師がいるんです。彼女は本気でこの病院を守ろうとしたんです」航平の言葉に、病院スタッフたちも松永を見据える。さらに、航平は続ける。
「患者さんと触れ合うことの大切さを教えてくれたのが、彼女とこの病院でした。地方医療に今必要なのは、医者と患者が心を通わせること、人と人の絆なんじゃないでしょうか。ここに住む人たちには、この病院しかないんです。ある病院がダメなら他をあたればいい、そんなふうに病院を選べる都会とは違うんです。みんな、この病院があるからこそ、安心して暮らしていけるんです」航平の必死な言葉に賛同し、頭を下げる薮内、片岡。そして、紗綾、仙道。けれども松永は薄情だ。
すると蓮見が突然、「市民病院閉鎖の決議は考え直す」と告げた。「『市』のために『市民』がいるんじゃない。『市民』のために、『市』がある。人と人の絆でこの市を支えていかなきゃならんのです」と頭を下げる蓮見。そして、柿沼もこの病院に残ると松永に告げる。市民たちからは「帰れ!」コールが起こり、憤然と去っていく松永。航平と蓮見はしっかりと見つめ合った。
眠っている愛子。付き添っていた航平が祈るようにその手を両手で包み込み、話しかける。そっと入ってくる仙道、和子、七海。「僕がもっと早く気づいていればよかったね」自らの額に愛子の手をあてる航平。その時、愛子の目がゆっくりと開く。「田中!」「お姉ちゃん!」喜ぶ一同に愛子は「患者さんは…?」と声にならない声を出す。「全員、無事に助かったよ」航平の言葉に涙する愛子。心からの笑顔の航平、七海、仙道、和子。その日、航平は蓮見にとある相談を持ちかける。
一年後…。
西山室市民病院は CT や MRI や病室を解放し、市民病院の機材を開業医が自由に使用できる “西山室市オープン病院” として生まれ変わった。市民病院スタッフと開業医が協力して患者を診察し、七海や元入院患者の 金子 (村松利史) と マコト (沢木ルカ) など市民がボランティアスタッフとして手伝い、市民たちが気軽に意見言える病院となった。そんな “西山室市オープン病院” は、昨年度よりも赤字が20パーセント減り、蓮見もご機嫌だ。
日替わり、夜勤明けの航平と愛子が朝日を見ている。
「朝日が昇って、沈んで、また昇る。ずっとずっと、何があっても、お日様は昇る。ずっとずっと、朝日を見られたらいいね。一緒に、この病院で」と愛子。
「毎日はきついな。雨の日は寝坊してもいいかな?」と航平。… 二人は笑顔だ。
「ありがとう」と航平に手を差し出す愛子。その手をしっかりと握る航平。
ふたりの笑顔を朝日が照らしていた。
第1話 2008年7月06日 「医療は人か金か!?」 16.8% 15分拡大
第2話 2008年7月13日 「命を金で買うとき」 13.9%
第3話 2008年7月20日 「暴かれる医療ミス」 13.5%
第4話 2008年7月27日 「加害者と被害者」 10.8%
第5話 2008年8月02日 「涙の告白〜笑顔」 10.3%
第6話 2008年8月10日 「訴えられた病院」 10.5%
第7話 2008年8月17日 「見捨てられた患者」12.9%
第8話 2008年8月24日 「看護師長、倒れる」13.0%
第9話 2008年8月31日「妻の死と病院閉鎖」10.4%
第10話(最終話) 2008年9月7日 「死ぬな! 病院・・・!!〜救う絆、そして闘う絆〜」 14.1%
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