2008年07月25日

その男、副署長 File.4 あらすじ 

File.4 2008年07月24日
「なぜ、あの近藤警務課長が制服を脱ぎ捨てて河原町署から飛び出していったのか?」

 これまで私は、副署長(船越英一郎)が制服を脱いで独自捜査のために外出されるたび、
「たとえご自身で捜査したいと切望される事件と遭遇しようと、立場をわきまえて我慢すべきだ」
――そう思っておりました。実際、副署長にも我慢なさるよう、何度も口を酸っぱくして進言して参りました。しかし!今回ばかりは、私の我慢が限界を超えてしまいました。あのような事件が起こってしまった以上、私は…私はもう……。

 その事件とは、会社員・国中昭夫(吉田輝生)が刺殺された挙句、椅子に縛られた状態で顔面を潰された事件でした。そこまでならば…もちろん起こってはならぬことですが、いつ何時でも起こりうる凶悪犯罪です。しかし今回、被害者の膝の上には白い百合の花束が置かれていた!その状況を上田刑事(鈴木一真)から聞いたとき、私の心は一瞬にして凍てつきました。

あれは14年前――。母子で弁当店を営んでいた藤代弘道(長江健次)がまったく同じ手口で、店舗の大家・坂口伸夫(高尾一生)を殺害しました。そして、その事件を担当していた人間こそ、刑事時代の私だったのです!藤代は去年の10月に刑期を終え、出所している。もし…もしも、今回の事件が藤代による犯行だとしたら、責任はこの私に…14年前、藤代に対して取ってしまった私の“あの行動”にある!

 私は制服を脱ぎ捨て、藤代の消息を追いました。服務規定違反は重々承知の上です。署に戻るようおっしゃる副署長を振り払い、私はラーメン店で働いているという藤代を追いました。しかも私は藤代、そして事件そのものを冷静に見つめて分析する目を失ってしまった。国中が殺されたことを告げたときに藤代が見せた驚愕の表情を見た瞬間、私は我を忘れて暴走してしまったのです!

「お前がやったのか!?」――私は声を荒げ、藤代に掴みかかりました。嗚呼、なんたること…警務課長としてあるまじき行動です…。しかも、あの場に副署長、野沢刑事課長(石丸謙二郎)らがおいでにならなければ、私はさらなる暴走に出ていたかもしれない……。そう、あのときの私は藤代となら心中しても構わない! そんな思いに駆られていたのです。

 副署長にもお話しましたが、そこまで私が考えるには理由がありました。私はかつて藤代母子が営む弁当店の常連でした。母子の温かい笑顔、いつも必ず出してくれる一杯のほうじ茶…。家族のいない私にとって、あの店だけが心休まる場所だったのです。

そんな折、あの事件が起きました。藤代が捜査線上に浮かぶや、私はすぐ彼にアリバイを尋ねました。震えて黙り込んだ彼を見て、私は彼がホシだと直感しました。

しかし…私は手錠をかけなかった!あの事件には、坂口が家賃を倍にすると言って藤代母子を追い詰め、母親の藤代美也子(服部妙子)をレイプしたという背景があったからです。藤代は母親を辱めた坂口を許せなかった…。だからこそ殺人を犯した上に、坂口が母親に贈ってきたユリの花を突っ返すように膝の上に置いた…! 藤代の思いは痛いほど私を揺さぶりました。

「自首しなさい」――私は坂口の罪を軽減させたい一心で、そう告げました。その3日後、彼は自首しました。しかし……彼に情をかけたのは私の誤算だったのか!?

 藤代がホンボシなら、私は責任を取ります――。翌日、私は署長(萬田久子)に辞表を提出しました。署長は一時預かりという形をお取りになられましたが、状況は藤代=ホンボシの方向へと流れておりました。捜査の結果、藤代には事件当時のアリバイがなく、犯行に使われたロープが彼の勤め先のものだと判明。しかも、北畑翔(黒田勇樹)という大学院生が、藤代と国中が言い争う姿を目撃したというのです!

 一方、副署長はコピーキャット(模倣犯)による犯行説も考えておられたよう。そして証言を集める中、次のことをお知りになられました。藤代がつい先日行われた知人の葬式で、焼香中に突然倒れたこと。国中に連れられてラーメン店を訪れた大学院生が藤代に「論文の参考にしたいから」と言い、しつこく14年前の事件のことを聞いていたことを!

「俺のガマンもここまでだっ!」

 私が席を外した隙に、副署長はまたしても制服を脱ぎ捨て、走り出しておられました。遂に、副署長は事件のからくりを解かれたのでしょう。やりましたね、副署長……。

 副署長は北畑翔のもとを訪れていました。実は、この男こそ真犯人でした!北畑は競馬仲間だった国中から借金を重ねており、返済に困って犯罪に及んだのです。しかも、藤代に罪を被せるべく、犯罪をコピーするという卑劣な手段を使って…!!

北畑はシラを切ったそうですが、副署長は藤代の無罪を証明する決定的な証拠を掴んでおられました。藤代が葬式で倒れたのは、14年前の事件に対する痛烈な罪悪感が原因でかかったユリ・アレルギーのためだったのです! ここまで来れば、もう言い逃れはできません。やがて北畑は罪を認め、副署長の勧めで自首したのであります。

 私は藤代を疑ったことを心から詫びました。そんな私を藤代は責めなかった…。しかも、かつて罪を犯した自分が幸せに暮らしていいものか――藤代は自分の子を宿した恋人・菜々美(クノ真季子)さんができた現在も、己の罪と真摯に向き合い、苦しんでいました。そんな彼の姿を見て、私は心の底から願ったのです。

 時間はかかるかもしれない…。しかし、彼には今度こそ幸せになってほしい――と。



File.1 2008年07月3日 「なぜ、コンビニ立てこもり犯の手にしていた包丁には、店内の誰も刺していないのに血痕が付着していたのか?」 12.4%

File.2 2008年07月10日 「なぜ、人気漫画家は、殺された叔父の遺骨を
タクシーの中に置き忘れたのか!?」
11.6%

File.3 2008年07月17日 「なぜ、殺された人気コラムニスト胃袋からは
長ネギと九条ネギの2種類が発見されたのか!?」
11.6%

File.4 2008年07月24日 「なぜ、あの近藤警務課長が制服を脱ぎ捨てて
河原町署から飛び出していったのか?」 10.9%

File.5 2008年07月31日 「ストーカーを殺した女は、なぜ1万6800円もする安眠枕を通販で五つも買ったのか?」 12.8%

File.6 2008年08月07日 「なぜ、漂着死体が発見された前日、喫茶店『ビーベリー』のコーヒーカップは温まっていなかったのか?」12.6%

File.7 2008年08月14日 「偽装問題で揺れる大手スーパーの重役は、なぜ、真夏の熱帯夜に凍死したのか?」13.0%

File.8 2008年08月21日 「なぜ、面影寺の跡取り息子が、沢渡神社の石階段の下で死んでいたのか?」8.7%

File.9 2008年08月28日 「ひき逃げ事件を目撃した学童擁護員は、なぜ嘘の証言をしたのか?」12.2%

File.10 2008年09月04日 「ネットカフェの防犯カメラに映った女は、なぜ、香水の残り香とホットケーキを個室の中に残して消えたのか?」

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posted by Dhunting | Comment(0) | 2008年夏ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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