2008年07月20日

Tomorrow 第1話 あらすじ

第1話 2008年7月6日 「医療は人か金か!?」

―― 1999年
とある大学病院。緊迫した中、慌ただしく動き回る看護師たち。麻酔医や手術助手が冷淡に手術用ベッドの上に横たわる患者を見ていた。ただ一人、必死で蘇生処置を施す男性外科医。しかし、患者の心拍が戻ることはなく…。


―― 2008年
森山航平 (竹野内 豊) は8年前に医者を辞め、今はかつて栄えていた海沿いの地方都市にある西山室市役所の職員として働いている。都会の雑踏からかけ離れた、どこまでも青く広い海沿いの街に住み、スクーターで職場に向かうことが日課だ。親切で面倒な仕事でも嫌がらずに対処してくれる航平は、街の人からとても信頼されている。

 田中愛子 (菅野美穂) は西山室市民病院の看護師。正義感が強く、早とちりで勘違いも多いが、愛すべき性格の持ち主。母の死後は大学生である妹の 七海 (黒川智花) のために働き、家計を支えている。

 ある日、航平は副市長の 蓮見洋治 (陣内孝則) から、新しく西山室市民病院に派遣される医師を駅まで迎えに行くよう頼まれる。急いで役所を出ようとした航平は戸籍謄本をもらうために役所にやってきた愛子とぶつかる。それが航平と愛子の出会いだった。

 駅で医師を待つ航平は、妊婦の 涼子 (大沢あかね) が苦しんでいるところを目撃する。人のいい航平は涼子に付き添って市民病院へ急行するが、内科医の 片岡 (田中実) から、産婦人科の医師は木曜しかいないから他の病院へ行ってくれと言われる。一番近い病院までは1時間以上。看護師の愛子は何とか受け入れるようにと願い出る。そこで、運命的に航平と愛子は再会する。

 すると突然、「私が診るわ」と、見ず知らずの女性が現れる。かなり冷静なその女性こそが、航平が駅で迎えるはずだった新しい医師・遠藤紗綾 (緒川たまき)。彼女は市の「病院再建プロジェクト」の中核を担うべく派遣された敏腕の脳外科医でありアメリカで経営学を学んだエキスパート。結局、紗綾が涼子の容態を診ることに。

 誰にも連絡しないで欲しいという涼子は、妊娠9ヶ月になっても分娩する病院が決まらず、疲れからか胃炎を起こしていた。涼子は、「この病院で出産させて欲しい」と必死に頼む。しかし紗綾は、「この病院は分娩を扱っていないし、仮に扱っていたとしても、9ヶ月にもなった妊婦を受け入れる病院なんてない。出産できる産婦人科が全国的に減っている今、妊娠した時点で調べて早めに対処しておくぐらいの自覚が必要でしょう」ときっぱりとした口調で答える。愛子は涼子のことを心配しつつも、紗綾の言い分も理解でき、複雑な気持ちでいた。航平もまた、そんな二人のやり取りを見守るしかなかった。

 そもそも紗綾が派遣されてきた要因は、西山室市民病院が赤字30億を抱え、今にも潰れそうな状態だからだ。経営が完全に破綻し、市が赤字を尻拭いしている状態。常駐ドクターは院長を入れてわずか3人、外科医はたった1人。病棟も半分以上は閉鎖されているという… 慢性的な医師不足の病院だった。

 地方の病院に新しい医師が来ることもなく、医者も看護師も32時間以上の勤務が当たり前。病院を建て直すため、紗綾はこの病院の経営を担当している病院事務長の 仙道 (岸部一徳) には辞めてもらい、全て自分が管理すると言い出す。さらには、市民のための病院という考え方を捨て、“金になる患者のためのセレブ病院”にすると病院スタッフに伝える。総合病院ではなく、利益の大きい循環器や脳神経を専門とした病院に移行し、金にならない小児科や裁判ばかりの産婦人科を閉鎖させる計画だ。

 市民病院をなくすことに反対する愛子は紗綾に詰め寄るが、「病院だって儲けがなければ潰れる。あなたは給料をもらえなくても患者のために働けるの?」と言い返され、言葉もない。「金がない患者とある患者のどちらかを助けろと言われれば迷わず金のある患者。その治療費で他の患者が救える。患者を守るのはお金。あなたがいうような安っぽいヒューマニズムじゃない」と、さらに紗綾は愛子を冷たくあしらうのだった…。

 愛子と紗綾のやり取りを聞いていた航平は複雑な気持ちでいた。すると紗綾が「赤字を抱えているのはここの病院だけじゃない。今の医療制度がおかしい。このままでは医者が死んでしまう。医療はタダだ、治してもらって当たり前という考えの患者のために医者が犠牲になる理由なんかない」と言い放つ。医者がそれを言ったらおしまいだと航平は訴えるが、紗綾には医者じゃないからそんなキレイごとがいえると相手にされない。

 夜勤中の愛子は看護師長の 原田和子 (エド・はるみ) から、仙道が事務長の職を正式に降ろされたと聞く。そして、愛子のドクターに食って掛かる態度は、彼女の母・好美 (永島映子) にそっくりだと愛子を元気づける。

 その夜、七夕祭で賑わう漁港を涼子は心細そうに歩いていた。一方、仙道から涼子が帰省していると聞いた涼子の母・早苗 (松田美由紀) は、夜になっても帰宅しない娘を航平と仙道と共に探していた。次の瞬間、七夕祭のメインステージで爆発事故が起きる。

 事故に巻き込まれた人々が次々と市民病院へやってきた。「ここは市民病院だろ!医者がいないなんてことがあるか!」興奮する患者を愛子たちは全力で受け入れるが、外科医は 薮内二郎 (六角慎司) ただ一人。紗綾とも連絡が取れない。

 涼子を探しながら事故現場にやってきた航平は見覚えのある古いお守りが落ちているのに気付く。辺りを見回すと崩れた瓦礫の下に涼子に涼子が倒れていた!頭や身体から出血しながらも、お腹を押さえて守っている涼子。航平はすばやくネクタイをはずし、応急処置をする。

 市民病院に気道熱傷を起こし危険な状態の涼子が運ばれてきた。薮内も他の患者が手いっぱいで診ることができない。「あと2分、いや1分待ってくれ!」薮内の祈るような声が響く中、涼子の容態が急変する。このままでは涼子も子供も死んでしまう…。覚悟を決めた愛子は緊張に震える手でメスを握り締める。

 気管を切開すれば涼子は呼吸ができるようになる。しかし、看護師が医療行為をすることはできない。麻衣 (橋本真実) が止めるのも聞かず、愛子は涼子の身体にメスを入れる。そんな愛子の必死な姿に立ち尽くす航平…。実は、航平は過去のトラウマから、医師であった過去を封印し、医療現場から眼を背けて生きてきた。医療現場から離れた年月、過去のトラウマ、目の前で死にそうになっている涼子… 航平は自分自身と葛藤しながらも、今、自分にできることは何かを考えていた。そこに紗綾が現れた !! と同時に、涼子の呼吸が戻る。

 「自分が何をしたかわかっているの!」紗綾が愛子を叱咤する。そのとき…「やったのは俺だ」と航平が愛子をかばう。絶句する愛子と紗綾だが、航平はさらに「俺は医者だ!」と告げ、帝王切開の準備をするように指示を出す。航平の言葉に希望を見出した愛子は帝王切開の準備を進める。しかし、涼子の脳が損傷していると判明し、紗綾は母体優先の手術を行うという。するとそのとき、航平の指に何かが触れた!もうろうとした意識の中で何かを訴える涼子… 航平は帝王切開と脳手術を同時に行おうと言い出す。

 一度は反対する紗綾だが、航平の真剣な眼差しを理解し、同時手術を行うことを承諾する。航平は覚悟を決めると、帝王切開を行うために手際よくメスを入れていく。紗綾もまた、脳の手術を進めていった。

 手を握り締めながら必死で祈る早苗に付き添っている仙道。そこに、響き渡る赤ちゃんの声。赤ちゃんを取り上げているのは航平だ。航平と愛子は雑然とした処置室の中、生命力に満ちた赤ちゃんを優しく見つめた。

 夜が明け、海から昇る朝日を見ていた航平に、仙道は涼子の意識が戻ったことを知らせる。涼子が目覚めるのを見届けた早苗に、航平は涼子が大事に持っていたお守りを手渡す。それは早苗が握り締めていたお守りと同じものだった!「涼子さんは、ずっとお母さんのもとに帰ってきたかったんじゃないですか?」。涼子をしっかりと抱きしめる早苗を航平と愛子と仙道は笑顔で見守った。

 喧騒がウソのように静まり返った処置室の廊下に、航平は紗綾から呼び出されていた。「いったい、いつまで医者だったの?」紗綾の言葉に航平は静かに口をひらく。というのも、一度取った医師免許に更新制度はない。免許を取得すれば剥奪されない限り、医者を名乗れるのだ。航平が医者として働いていたのは8年前まで。その事実を知った紗綾は冷静に、しかし怒りを込めて航平の頬を平手で打つ。「医療を甘く見ないで!」きびすを返し、去っていく紗綾。その様子を離れたところから見ていた愛子が思い切ったように航平に近寄っていく。

 涼子と自分を助けてくれた礼をいう愛子に、航平は顔を背ける。目の前で人が死ぬのを見たくなかった、自分のためにやったという航平。愛子もまた、自分自身が後悔したくなかったからだという。「ありがとう」愛子の素直な言葉に航平が耳を傾けようとした瞬間、愛子の目からポロリと涙が流れる。そして、愛子は自分の小刻みに震える右手を押さえながら、その場にしゃがみこんでしまう。

 「患者さん… 死なせちゃったらどうしようかって… 怖かった…」。右手の震えは一向に止まらず、泣き続ける愛子。すると… その手をそっと大きな手が包み込んだ。朝の光が微かに揺れる誰も居ない廊下で、愛子の振るえる手をしっかりと両手で握り締める航平。優しい笑顔で愛子を見つめている。その温かさを感じた愛子の目からは新たな涙があふれてきた…。

そして町中を見渡せる屋上で愛子は航平に、「あなたと仙道さんだけがきちんと患者さんと向き合っていた。医療ってそういうことなんだって、あなたのおかげでそう思えた」とうれしそうに語る。そして、「この市民病院を守りたい。もしあなたが医者に戻ってくれたなら…」という愛子。その言葉を遮るように、航平は…「俺には、資格がない」と答えるのだった。



第1話 2008年7月06日 「医療は人か金か!?」  16.8%

第2話 2008年7月13日 「命を金で買うとき」   13.9%

第3話 2008年7月20日 「暴かれる医療ミス」 13.5%

第4話 2008年7月27日 「加害者と被害者」   10.8%

第5話 2008年8月02日 「涙の告白〜笑顔」  10.3%

第6話 2008年8月10日 「訴えられた病院」   10.5%

第7話 2008年8月17日 「見捨てられた患者」12.9%

第8話 2008年8月24日 「看護師長、倒れる」

第9話 2008年8月31日「妻の死と病院閉鎖」10.4%

第10話(最終話) 2008年9月7日
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